テンジン・ケンツェのブログ

南インドのチベット寺院での日々。

お数珠の話

もう暫く前のことですが、数年使っていた数珠が切れてしまいました。ネパールで買った安価なものだったのもあり、これを期に新しい数珠を一連買おうと、ギュメ寺の先生に数珠について質問してみました。
先生は「基本的にはあまりこだわらなくていいが」と前置きをした上で以下のような話をしてくださいました。

四事業(四つの目的、息災・増益・敬愛・調伏)にあわせてそれぞれ、息災なら水晶や白い貝、増益なら金や銀、敬愛なら赤い白檀や赤い珊瑚、調伏ならルドラアクシャ、などと説かれている。しかし、菩提樹(ボーディ)であれば四事業すべてに用いることができる。

珠の数も様々に説かれ、一般的には108珠であるが111珠なら尚よい。余分の8や11は補闕分(真言100返中、気が散っていたり間違ったりしたものを補うために付け足すもの)である。111なのは、100の一割の10と、その10の一割の1で111。数珠一周で真言100返と計上するが、実際には111返唱えることになる。これを用いるならば、さらに補闕分を付加する必要はない。(通常、真言10万返など唱える行の場合に、規定の回数を達成した後、一割ほど追加で唱える習慣がある)

と、いうことだったので菩提樹の数珠を求めることに。しかし、ご存知の方も多いと思いますが日本では様々な素材に菩提樹という名が冠されています。星月菩提樹、金剛菩提樹、天竺菩提樹・・・等など。先生に菩提樹の数珠を見せてもらい、また韓国の友人に確認してみた所、チベットで言う菩提樹は鳳眼菩提樹(含、龍眼・虎眼)だということが判明。また、その代用品としてラクトゥという安価な素材もあるとのこと。

 

さて、ブッダガヤにて上記の友人が紹介してくれたお店で無事に菩提樹の数珠を入手。近年中国で菩提樹の数珠が人気のため値段が高騰しているとのこと。菩提樹は珠が小さい方が希少で高価。またネパール産は珠の形がよく、なめらかなので高価、インド産は形が歪で凸凹が多いので比較的安価です。私が求めたものはインド産で3千円くらいでしたが、同サイズで品質のよいネパール産だと35万円(!!)だそうです。

購入したものは菩提樹のみの108珠だったので珊瑚の珠を3つ買って加えました。一般的には27珠ごとに入れるのですが、私は自分の実用にあわせて、ひとつを片側7珠の後、ふたつを両側の21珠の後に入れて仕立て直してもらいました。

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菩提樹の数珠

購入後は毎日マハーボーディ寺院のお参りに持参し、大塔のお釈迦様や観音様、ターラー尊、金剛法座のお加持をいただき、受戒のときにはダライ・ラマ法王からもお加持していただきました。チュシン(小さい10珠のカウンター)や数珠の間に付けられる金具は取り外し可能なので自分の使いやすいようにカスタマイズできます。特に決まりはないのでチュシンをじゃらじゃらと沢山つけている人もいます。

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左からラクトゥ・菩提樹・加工した菩提樹

ラクトゥはサイズも品質も様々、安いものは100円ほどで買えます。マハーボーディ寺院の門前などでは大きめのラクトゥを菩提樹と偽って法外な値段で売っている行商人もいるのでご注意。削って形を整えてある菩提樹は未加工品より安価。

 

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桜尺二片寄

おまけ。私の使っている日本の数珠です。以前働いていたお寺の境内の桜で作った数珠。

 

以上、ご参考までに。